あひるのバタ足

日本語教師だったり、TOEICスコアアップトレーナーだったり。非常勤生活満喫中。ご意見はTwitter @ahiru5963 へ。

初級でも議論。シンギュラリティについて

学習者と接する際、常に意識していることの一つに「学習者は大人である」ということがあります。教師より年少である、日本語がたどたどしい、ともすれば我が子と同じくらいの年頃だからと、20才前後のいい大人を子ども扱いする教師は珍しくありません。2013年言語文化教育研究会でのつながろうねっト「あの子」問題から「教師学習者」の関係について考えるをご存知の方も多いと思います。

自分の授業は果たして大人を引きつけるものになっているだろうか?子ども扱いはしていないにしろ、留学生の関心事は生活やアルバイトだけと決めつけていないだろうか?そんな疑問から、ちょっと冒険をしてみました。

  • 使用教科書・単元『大地2』32課 使いましょう2
  • 所要時間1.5コマ
  • 学習者の出身国と人数:ベトナムスリランカ、モンゴル 16
  • テーマ:未来の仕事はどうなると思いますか?(教科書では「未来の学校」ですが、変えました)
  • 目標:未来について考えたことを「(普通形)かもしれません」を使って会話できる。

いま、未来と言えば「シンギュラリティ」ではないでしょうか。AIつまり人工知能が人間の能力を超え、人類がAIと融合する日です。GoogleAIプロジェクトを指揮するレイ・カーツワイル氏が今年20173月にSXSWで語ったところによると、これまで2045年と考えられていたこの日が、2029年に早まるということで話題になりました。

まず、ツカミです。英語で書かれたこの記事の見出しをモニタに写し、英語がわかる学習者に日本語で意味を説明させます。Ray Kurzweilが人の名前であることは説明します。またpredictに相当する日本語「予測する」など知りませんから、つまったら「未来のことを考えたんだね」等助けを出してもいいでしょう。実際しました。知っている範囲で言えばいいんだと学習者が再認識する機会にもなります。

www.foxnews.com

早くもこの段階で反応する学習者がいました。一人の学習者が「先生、これと同じですね」と自分のスマホ1分程度の動画を見つけてきたので、彼を前に呼んでスマホをモニタと接続して全員で動画を見ました。彼が出してきた動画には、AIの明るい未来だけでなく、戦争で無人攻撃に使われるというネガティブな情報も入っていました。

www.express.co.uk

ここで、グループでの話し合いを開始します。黒板の左側には今2017年に存在する仕事、たとえば運転手、学校の先生、店員、駅員などを書き、右側には2029年と書いて空欄にしておきます。教科書の例は100年後ですが、そんな未来はだれも生きてないと学習者たちも鼻で笑います。しかし2029年なら自分は

休み時間も忘れて話し続けるグループもありました。

発表は、学習者が口頭で話したことをその場で教師がPCに打ち込み、リアルタイムでモニタで共有しました。

実際のドキュメントです。よほど決定的な非文でない限り、学習者が産出したことばは生かしました。

docs.google.com

 

今起きていること、自分が知っていること、興味のあること、それらが結びついたとき、学習はとても楽しいものになり、学習内容は有機的に定着していくのではないでしょうか。これからも学習者とともに、旅を続けたいと思っています。